Little AngelPretty devil
           〜ルイヒル年の差パラレル

      “お世話になってます♪”
 


……の取材があったんだけどサ、
その場は、まま
あんまり話もしない大人しさで済ましたくせに。
お疲れさんってことで、
ウチの面子だけでツンさんの居酒屋で晩飯食ってたら、
あいつら、人をイロモノみてぇに思ってんじゃねぇかって、
いきなり不機嫌になって言い出してサ。
今のルイにそんなこと言えるとは
そんな度胸がある奴ってむしろ凄いなぁって、
何処の怖いもん知らずだよって思ってたら、
イロモノ云々じゃあなくて、
色眼鏡で見るなって言いたかったらしくてよ。

 「不良とか乱暴者とかいう方向でってこと?」

訊くと、うんうんと深々と頷いてから、

 「そんなトンチンカン、取材現場で言われてたら、
  キョトンとされてから次には、
  それこそ“怖そうだけど意外と天然vv”とかいう
  コワカワ系だぞって見られちまうよな
  思わぬ噂が流されてたぞって、注意してやったんだがな。」

はぁあなんて、一端の大人のような溜息つきつつ、
ひょこりと小さな肩をすくめるは。
そんな天然だと思われちゃあ困る系、
族あがりのハードな雰囲気が売りの
賊学大アメフト部のマスコット…ということになってるけれど、
そういう部の怖もて部員でさえ逆らえぬほど
本格的スパルタ指導をしく鬼軍曹様。
軽やかなくせっ毛のきらめく金髪に、
金茶色の双眸や するんとした頬、
野いちごみたいな口許というキュートなお顔。
まだまだ幼い寸のままな、華奢で可憐な肢体という、
天使みたいな風貌をしていながら。
十歳近くも年の離れた、
しかも暴走族だったというお兄さんたちを。
この小さな御身でありながら
“おらおらおら”と一丁前の脅し文句で追い回しての、
日々鍛えておいでというから、

 “葉柱くんのことばかり言えないよな。”

部外の大人へは
ころりと打って変わって愛らしいお顔を作り。
女性ファンは大事にしないと、
周辺への口コミとか凄んごいおまけまで無駄にしちまうぞ、なんて。
そんな微妙な下心つきなくせして、
初心な坊やの振りで可愛い子供を演じたり。
必要に応じてだとはいえ、
そういう“使い分け”をする妖一くんなのに比べれば、

  むしろ

おっかないまでの迫力ある存在感も、
小さい者の我儘を汲んでやれる、尋深い許容があってこその、
思わぬ甘さも天然なところも、
どれもこれも素顔な総長さんの方が正しいのだろうに。

 “まあ、だからこそこの坊やが懐いてるんだし、
  柄にないし、自覚もない、
  焼き餅なんてものだって焼いちゃうんだろうけど。”

そうと思えば可愛いもんだと、
でもでもそうと思ったなんてこと、
おくびにも出さずのいつも通りの笑顔でおれば、

 「そか、葉柱さんは やさしーことナイショなんだね。」

それは奥が深いとでも言いたいか、
ふ〜んという感慨深げなお顔になりつつ、
こちらさんも“うんうん”と頷きながら。
これどーぞvvと、
今 売り出しの桜風味のトッピングがされたドーナツを、
可愛らしいキャラクターの描かれた小皿に載せて差し出してくれたのが。
こちらさんも実はくせっ毛なのでまとまりのよくない黒髪、
窓から射し入る明るい陽差しで仄かに甘い色合いに温めて。
ふくりとやわらかそうな頬に、
これまた甘ぁい笑みを頬張って微笑う、
そりゃあ愛らしい男の子。
お友達の妖一くんとは同じクラスの小学生であり、
だがだが、
このくらいの子だと、ついつい背伸びをするはずが、
逆に いつまでも、まったりのほほんとしておいで。
舌っ足らずなところとか、
無邪気が過ぎて実年齢以上に幼い言動も多いところとか、
それはそれはのんびり屋さんなものだから、
同い年ながら、こちらは背伸び組の筆頭だろう妖一くんが、
勝手にしなと放っておけなくて、ついつい世話を焼いてしまう、
そんな奇妙な効果まで出させると思えば、

 “この子も立派に不思議ちゃんだよねぇ。”

しかも、作為が微塵もないから恐ろしい…と。
思いはしても顔には出さず、

  ……いや、出してもいいのかな?
  恐れ入るほど可愛いと認めているんだし、なんて

混乱しかかってのこと、
きれいなアーモンド型の双眸、ちょみっと見開き、
淡い色合いの瞳孔を微かに揺らしてしまったお兄さん。
特に世渡りが上手になるつもりはなかったし、
空気が読めるのも気を遣うのも年齢相応のレベル、
最低限のフォローしか出来ないクチだと常々思っていたけれど。

 『いやいやいや、そんなことはないと思うぜ?』
 『そうそう。
  大したもんだし、僕らも随分と助かってるし。』

ちょおっと目を離すと
記録収集用のデジカメだの計測器だの、
高価な機材をあっさりお釈迦にしてしまう“破壊神様”への
体を張ったブレーキ役を、いつの間にやら任されていたのも。
どんな危急へでも機転が利いて、
しかも相手の気持ちを同時に考慮するほどの、
それは絶妙なフォローが頼りになるからだと、

 『……。』

いやいやいや、半分くらいは厄介払いというか、
面倒は他人へ任せようって連中からの多数決の、
標的側の矢面に立たされたようなものに過ぎないって、と。
ついつい日本語も微妙になっちゃうほど、
ちょみっと複雑な心境の、桜庭のお兄さんだったのだけれども。

 「……っと。」

ポッケで鳴り出したスマホに気づき、
子悪魔鬼軍曹様が“ほいほい”とそれへ出ている間。
身内でもあるシルバーナイツのマスコット坊やが淹れてくださった、
実は絶品のアップルティーをご相伴しておれば。

 「…うん。おお、出来たのか。判った。」

何故だか足止めされてた、葉柱さんチのリビングルーム。
てっきり、来たるホワイトデーに向けての何かしら、
クッキングに勤しむ予定の妖一くんの
信じられないほど取っ散らかす調理への補佐役に
駆り出されたかと思ったのにね。
ここでお待ちをと、メイドさんの篠宮さんに言い置かれ、
愛らしいおちびさんたちによる接待、
若しくは“逆お守り”を受けて待っておれば。

 「ほら、桜庭。外へ出るぞ。」

高い天井のその際近くまである大きな窓、
手慣れた様子で押し開けて、さっさかと先に出てゆく妖一くんのあと、

 「ほら、行こぉよvv」

ちびセナくんまで、ほぉらほぉらと背中を押して。
今度こそのお呼びだよという、
少々不慣れな案内役を頑張っておいで。


  だって今日は、あのね?


いつもいつも、お世話になってる桜庭さんのお誕生日だもんね。
人並みなレベルの我儘だけならまだしも、
硬軟取り揃った、しかも唯我独尊な顔触れの、
やること為すことの突拍子のなさに、振り回されても何のその。
周りとの齟齬がないよう気を回してくれたり、
大丈夫だよとお声を掛けてくれたり、
いつもいつも頑張ってくれる、一等大事なお友達だから。

  あのねあのね、進さんがね、
  ふわカリのおこにょ、お好み焼きを焼いてくれてるんだよ?

  あ、こら。
  先に言っちゃったらサプライズにならんだろうが。

  だって、それだけじゃないもん。

こしょこしょ揉め出すお二人さんへ、
ああホラ、匂いで判ったしと、やっぱりフォローをしてしまう、
そんな優しいお兄さん。
まだまだお世話を掛けそうな人たちですが、
もーりんからもお祝い言わせて。



   
HAPPY BIRTHDAY!
   TO HARUTO SAKURABA!!





     〜Fine〜  13.03.12.


  *ウチのレギュラーにして、
   あなたがいないと何かと成り立たないだろう、
   デコボコCPたちへのフォローをありがとうな、
   桜庭くんへの、お誕生日おめでとう、ですvv
   本来ならば、
   ラバヒルものを書くべきなのかも知れませんが、(まったくだ)
   ここんとこ、ウチのメインがぷにっ子たちになりつつあるので。
   (あああ、こういう形でも余波が…。)
こらこら

ご感想はこちらvv めーるふぉーむvv

ご感想はこちらへ or 更新 & 拍手レス

戻る